« 腰マンガ | トップページ | 今朝も一色さかな村 »

2006年8月23日 (水)

藤沢周平

Bishinoichibun1_1【武士の一分】(ぶしのいちぶん)とよむのだそうだ。
山田洋次監督の【たそがれ清兵衛】【隠し剣鬼の爪】と並ぶ時代劇三部作の最後だとか。

藤沢作品、隠し剣シリーズは二冊あり「隠し剣孤影抄」は八作品「隠し剣秋風抄」は九作品の短編から構成されている。今回の映画は秋風抄に収録されている「盲目剣谺(こだま)返し」が原作。

前二作を見た方ならご存知なのだが、【たそがれ・・・】も【・・・鬼の爪も】表題の作品のみが原作となっているのではなく、隠し剣シリーズ以外の短編も原作として織り交ぜてある。

今回の【武士の一分】はこのパンフレットを見るだけでは「盲目剣谺返し」一作品だけが原作となっている。

物語は、毒味役の主人公が毒に当たり盲目となる。家禄没収かと思いきや、禄は維持され養生せよとの通達、そのころから妻の外出が増える・・・。

Bishinoichibun_1 武士の一分であるから、その辺の方向性が誠に難しいであろう。
キムタクさんも撮影場所などでごねたらしいから下手な演技は見せられないはず。
12月公開ということだから、楽しみに待っていよう。

これは余談だが、私がこの隠し剣シリーズで一番好きな作品は「女人剣さざ波」。
姉の美しさに早合点し、その妹邦江を娶った全く軟弱な男俊之助、醜女ともいえる妻を馬鹿にし、上司の命令を良いことに夜な夜な茶屋に出入りする。幸い上手く役目を終えたが、探索していた相手遠山に逆恨みをされて果たし合いということに。そこでその妻が「とうてい夫には無理だ」と果たし合いを替わるもので、とても意地らしく目頭が熱くなる。
結果的には、秘剣さざ波の認可を受けていた妻が深手を負いながらも勝つ。その決闘場面も素晴らしいし、書き置きを見て駆けつけた夫に言った言葉も良い。

「邦江」

 俊之助が、ひたひたと頬を叩くと、邦江はようやく眼を開けた。そして微かに笑った。俊之助が見たことのない美しい笑顔だった。
「ひどい傷だ」
 俊之助は、邦江の身体から鉢巻きと襷をとり、草鞋のように紐でくくりつけた草履をとった。そして慎重に邦江の身体を動かしながら、背にのせた。

「死ぬな」

 ちらと遠山の死体を一瞥して歩き出しながら、俊之助はそう言った。遠山が死に、邦江が生き残っているのが、奇蹟としか思われなかった。

 背中邦江が呟くように何か言った。

「え?何と言った」

「家へ、帰りましたら・・・・・・」

「うむ」

「去り状を頂きます」

「馬鹿を申せ」

 と俊之助は言った。だが、邦江は長い間このひと言を言いたいと思ってきたのだな、と思った。それが、いまやっと言えたのだ。

----------------------------------------

隠し剣シリーズの短編には、実はハッピーエンドが比較的少ない。「女人剣さざ波」「盲目剣谺返し」「隠し剣鬼の爪」はハッピーエンドで終わる。

|

« 腰マンガ | トップページ | 今朝も一色さかな村 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 腰マンガ | トップページ | 今朝も一色さかな村 »