イチビのシードバンク
今朝は人恋しくなるような、秋の空。
こんなに空が高かったのかと実感する三河湾の景色である。
海岸の防波堤を走っていて、海とは反対側の畑を見ていたら、少し違和感を感じて車を停めて眺めてしまった。
ここは冬に小麦を作り、夏から秋にかけては大豆が植えられるところ。今はどこも深緑色の大豆の葉が生い茂っていなければいけないが、この写真で見える奥の畑だけは緑色がやや淡い。
おそらく何らかの外来植物がシードバンクを行使したものではないかと見当を付けて行ってみた。
想像はおおかた当たり、そこの大豆畑はアオイ科のイチビにかなり妨害されていた。株の数では圧倒的にイチビが多い。
このイチビは当然蒔かれたものではなく、昨年以前にここの畑もしくは周囲に生えていたイチビからもたらされたもの。
では前年に全てのイチビを種ができるまでに抜き去ってしまったらどうだろうか、答えはそれでもイチビは生えてくる。
つまり前年以前に畑に落ちた種のうち11cmより浅いところに来た種はその年に発芽するが、それより深いところにある種は休眠しているとのこと。
シードバンク=種の銀行である。
毎年、大豆の種を蒔くためにトラクターで耕すたびに一緒にイチビの種を蒔いているのと同じ事になる。
この地下の銀行にはどれくらいの種が貯蓄されているかというと、現在生えているイチビの数の6.3倍の種が蓄えられているとのこと。
しかも、その種の預入期間である寿命は20年間もあるらしい。人間界の銀行の条件よりずっと良いような気がする。
【参考文献:日本帰化植物写真図鑑 全国農村教育協会発行】
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