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2006年9月30日 (土)

酔芙蓉

Suifuyou1 実家の父が大腸検査の際に、内視鏡が腸を突き破るという医療ミスがあり、緊急手術を受けたと兄から連絡が入った。

押っ取り刀で実家へ駆けつけると、命には別状がなく、現在集中治療室に入っていて、すこぶる元気だという。

それではお茶を一杯ということで、庭の大きくなった酔芙蓉を眺めながら、二時間ほど運転して疲れた腰を伸ばした。

この酔芙蓉は、もう時効だから良いと思うが、今から18年ほど前、両親と引率の弟がパSuifuyou2 プアニューギニアのニューアイルランドという小島から種子を持ち帰ったものである。当然、現在もいやその当時の方が病害虫の防除のために良くないことだったのは言うまでもない。

18年前というと両親は66歳、朝咲いた花は白いのに夕方になると赤く染まる芙蓉を美しく感じ、ついつい種子に手が伸びてしまったのだろう。

では、何故年老いた両親がツアーのない、飛行機だけで乗り換えが4回もある孤島にいったのだろうか。

それは、太平洋戦争である。父は先の大戦の際、有名なラバウル(ニューブリテン島)のすぐ隣の小さな島に従軍していたのである。幸いと言ってはおかしいが、それほどの激戦地ではなかったらしく、殺すことも殺されることもなく、原住民とも仲良くやっていたとのことである。しかし、これは日本軍から見てのことで、本当の住民感情は推測できない。

ただ、私の子どもの頃だから昭和30年代の後半だろうか、非常に懐かしそうに戦地の話をしてくれた。原住民との会話のためのノートなどもあり、何度も「もう一度行ってみたい」とつぶやいていた。それを聞くだけで、子供心に原住民にひどいことをしてきたのではないな、と考えることができた。

その頃は、「戦友会」などの主催で遺骨収集団が結成され、団体で遺骨を収集しながら現地を訪れることが何年に一度かは計画され、人員の募集があった。しかし、その時期は我々子ども達が育ち盛り、一家の大黒柱が数週間家を空けることは不可能で、あきらめていた。

時は過ぎ、遺骨収集団も結成されることがなくなり、戦争は風化。しかし、息子3人は確実に成長、ある年の正月に酔った勢いで相談した。「親父も歳をとってきて、早く行かせてやらないと、行けなくなっちゃうぞ」しかし、ツアーもないど田舎、日本語通じないし、などと酒の肴にしていたら、弟が「俺、会社に入って10年だから、特別休暇もらえる」と言いだした。「じゃあ、おまえ引率兼通訳で自分の旅費を出せ、俺たち(兄と私)は親父とお袋の分を出す」ということで、トントン拍子に決定してしまったわけである。

Suifuyou3 両親は旅行にあたって、現地の子どもたちにということでノートや鉛筆を沢山持っていき、配ったらしい。お礼にパパイヤなどの果物を子どもたちが沢山持ってきてくれた写真があった。

現地は父が居た頃と全く変わりはなく、父の知っている方もご存命だったという。

日本に帰ってからしばらくは、浦島太郎のように、頭の中が変だったと父が後で語ってくれた。

きょう病院を見舞った際の父は元気で、もう歩くように言われたらしい。とんだ災難であったが、また元気に頑張って欲しい。

午後になると酔芙蓉が少しピンクに染まってきた。

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コメント

いいお話ですね。ご両親もおぢちゃん達
ご兄弟もすばらしいです。

酔芙蓉は通勤途中に咲いていてとても好きな
木です。朝には真っ白い花が夕方見ると
ピンク色不思議ですね。
ニオイバンマツリやハコネウツギも色変わり
する花ですよね。これまた不思議。

投稿: 秀子 | 2006年9月30日 (土) 21時38分

ありがとうございます。

酔芙蓉は、日本に来てしまうとキンモクセイなどと同じように種子はできないようです。ただ、挿し木で容易に増えるとか、広い庭があったら1本植えておきたいですね。

今回は昼過ぎまでしか見ることができませんでしたが、夕方の色を見たいです。

投稿: からっぽ親父 | 2006年10月 1日 (日) 04時19分

書き出しに医療ミスで緊急手術なんて書いてありますのでビックリしました、早くよくなるように祈ってます。
兄弟で旅行をプレゼント、いいお話ですね~。
我家、女房の実家共に何もしてあげられませんでしたチョッピリ心残りです。
酔芙蓉魅力的な花ですね~朝の色と夕方の色が違うなんて益々魅力的!

投稿: 北割H  | 2006年10月 2日 (月) 22時23分

北割さん、コメントありがとうございます。
私が行ったときには、トイレに歩いて行くところでしたのでついて行きましたが、とても元気で安心しました。

酔芙蓉は一色町にもあるのですが、よそ様の庭へカメラを向けるわけにもいきません。
来週は掛川も大祭なので行ってみようと思います。

残念ながら、種子ができないんですよ。

投稿: からっぽ親父 | 2006年10月 3日 (火) 20時40分

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