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2006年12月21日 (木)

柿の木・2

遠州でも子供たちは、柿が大好き。ピンポン球のような実が鈴なりになる早生の柿は、初秋の楽しみであった。この柿は、実に黒い点が多数あった方が甘い、そのことを知っている子供たちは、爪で柿の実をわずかながら剥いてみて、甘さを判断するのだ。これは、我が家にあった【天竜】という品種も同じで、木に登るとあちこちの実に、爪痕のチェックがついていたものだ。

もちろん、一番人気がある次郎柿はそのようなチェックは入っていない、色づいていれば甘いことを誰もが知っているからだ。
次郎柿は、私の実家から数キロ北西の遠州森町が原産だと言われる。森町に行くと、どこのお宅でも裏庭に大きな柿の木があり、非常に大事にしている。柿の実も、それはそれは大きな立派なものがなり、それがそのお宅の自慢だったのだが近年、住宅の建て替えや、増築で切られていくことが多いと聞く。
私の兄嫁の実家でも、子供の勉強部屋を作るということで切られてしまった。柿の実の価値以上に残念なことである。

Jirougaki もちろん、実家の庭にも次郎柿が植えられている。私の子供の頃と同じように。いつ頃からあるのかといえば、恐らく私の父が子供の頃からあるのであろう。
宮崎さんの『柿の木』にもあるように、柿の木は何十年にも渡って人間の暮らしを見つめてきた。戦争で出征していった父も、無事帰ってきた父も。そして、何度となくあった人間の生と死も。

先月初め、「ヒヨドリが柿を全部食っちゃう」と母から電話があった。兄に聞いてみると、「それはヒヨドリではなく、ムクドリだ」とのことだが、母にとってはそんなことはどうでも良いことだ。

しばらくすると、あまり大きさも形も立派とは言えない次郎柿が送られてきた。

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