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2007年7月25日 (水)

ポリドラ

Polydora1三重県からやや小振りだがアッパッパ(ヒオウギガイ)が送られてきたので、何個かの外套膜と貝柱を取って刺身を作った。

二枚貝が好きな方で調理をされる方はご存知だろうが、貝殻の内側が黒く膨らんだようになっているのをご覧になったことがあるだろう。

これはポリドラ(Polydora)と呼ばれる環形動物、多毛綱、つまりゴカイの仲間が貝殻の外側から穴を開け侵入したものである。といっても、貝を食べるためではなくて住みかにするためで、穴を開けたPolydora2 後は一線を画すように壁を作って個室となっているようだ。ポリドラは貝殻の外側の穴から触手を出して餌をとっているらしい。

貝を食害しないといっても、貝にとってはかなりの負担になることは確かで、アコヤガイやこのヒオウギガイでは身が痩せてしまい、いわゆる「水貝」となってしまう。また、志摩地方のように目の前で貝を焼いて食べさせてくれるところでは、どうしても見栄えが悪くなってしまう。しかし、浜島町の磯料理「ヨット」の奥さんは「確かに、困った虫だがこれが全くいない漁場では、アッパッパ(ヒオウギガイ)のPolydora3_2 身入も悪い」という。うぅ~ん、貝を焼いてうん十年の職人さんのお言葉である。

つまり、広く深い海の中でも貝の餌が豊富なところがポリドラの餌も豊富で、そのようなところを住みかにするのだろう。
私もヒオウギガイやアコヤガイを垂下養殖していて、何度もそのことを実感したことがある。1m水深が違うだけで、成長差が著しいことがよくあった。成長の良いところでは、カンザシゴカイ類やフジツボの付着も多かったものだ。

黒い膜を破ってポリドラを出してみた、あまり大きくない。もちろん、人間に影響は全くないのでご安心を。

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コメント

そうだったんですか。
今日もとっても勉強になりました^^

投稿: | 2007年7月25日 (水) 21時01分

花さん、おはようございます。

生物って本当に面白いでしょ。
誤解の仲間って結構このような固着生活をしているものがありましてね。ヒトエカンザシの仲間なんてとてもきれいな鰓冠を出しています。
http://www.hokudai.ac.jp/fsc/usujiri/routohitoe.html

投稿: からっぽ親父 | 2007年7月26日 (木) 04時14分

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