看板
「工業用地お断り 野鳥を守ろう」という大きな看板が建った。
ここはその昔の鰻養殖の露地池で、最近ではハウス養鰻が盛んなので全く使用されなくなり、確かにアオサギなどのねぐらになっている。
建てたのはおそらく養鰻業を営む地主さんだろうから、無断で工場は建てられないのだが、最近の中国の薬品や、公害による薬物の混入を恐れてのことではないだろうか。事実、この近くに工場を建てようとする動きがあるらしい。
養鰻業者が危惧するのは、前述のように、なし崩し的に養鰻場の周囲を工業用地にされてしまい、公害などの影響が出て、仕事が続けられなくなることである。
養鰻業は仕事を始めるに当たって、莫大な金がかかるため簡単に移転などはできないし、町や企業がその補償をすることも不可能だと知っているからだろう。
これは養鰻関係の友人から聞いたことだが、ハウス養鰻を始めるに当たって、採算が取れる規模は家族で年間役50トンほどの出荷をしなければならない。ハウスの面積は1500坪くらいは必要だろう。そこで、ハウスを建て、電気を引き、水車、ボイラーなどを入れて稼働するのに10万円/坪くらい必要らしい。1500坪だと、1億5千万円だ。
それにシラスウナギ代金50kg分、今年の最高値は50万円/kg以上だったから、2500万円、出荷まで6ヶ月かかるからそれまでの餌代、電気代、重油代、・・・・・・霞を喰っては生きていけないので、半年以上の生活費。と考えると、養鰻業の移転、新規参加は不可能なことなのだ。
町長さんはじめ町の方はよくよく考えて、工場建設の許可を出さなければいけない。工場の移転はそれほど難しいことはないが、養鰻場の移転は本当に不可能だ。こうやって、養鰻業者がやっていけなくなると、残った業者にも影響が出て、この地区の鰻養殖が不可能になってくる。関連産業も同じ運命をたどって消えていかなければならない。
養鰻業者、加工場、餌屋、電機屋、資材屋、それにつとめる従業員、家族。
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