ガンガゼカクレエビ
『桜島の海へ』出羽慎一:写真・文を見ていると、魚の写真も美しいし面白い生態も我々に教えてくれるが、無脊椎動物の造形美やそれを住みかとする不思議な生き物も見せてくれる。このように棘皮動物や腔腸動物の体の一部を借りて生活するエビやカニなどは我々が学生時代はまだまだその存在が一部の人だけにしか知られておらず、ましてや図鑑や写真集ではほとんどお目にかかれなかった。
写真を無断で転載したが、ウニの一種ガンガゼの棘の間に棲む2種のエビも当時はほとんど知られておらず、野母崎で採集したときには小型のエビを研究しておられるM先生に報告したらとても喜ばれたものだ。
ガンガゼはダイバーなら誰でも知られている、長大な毒棘を持ったウニの仲間であるが、このエビが棲息しているならと、水槽で飼育してみたらなかなか美しい。
ある夜、エビがどのように夜間を過ごしているのか覗いてみると、なんと日中濃紫色だった2種 のエビが真っ赤に変わっているではないか。すぐに仲間を呼びその後交代で観察を続けたら、さらに体色は変化し、ほぼ透明状態になることが判明した。
この2種のエビは大きいものが現在【ガンガゼカクレエビ】小さいものが【ガンガゼエビ】と呼ばれていると思う。体色の変化はガンガゼエビと呼ばれる小さいものが、顕著に透明になっていき、ガンガゼカクレエビではサイズの小さいものが、変化が激しかった。
シャーレに入れたガンガゼエビ(?)は落ち着きがなく水中を素早く泳ぎ回ったが、短いガンガゼの棘を入れるとそれに留まり落ち着いてしまった。
体色変化の実験は、当初自然光での変化を観察し、体色のphaseを決定。その後、連続暗闇にしたものとの比較を行ったり、元に戻したりして実験を続けた。
結論を言えば、暗闇にした当初は多少体色変化の周期性は認められるが、その後暗闇が続くと透明phaseで固定されてしまった。
その後、自然光に戻したものは日の出とともに体色の変化が始まったが、周期性を回復するには時間がかかった。
30ウン年前、卒論の合間のお遊びで小さな研究会で発表しただけで、論文は書いていない。
写真集を見たので、昔のノートを引っ張り出して読んでみた。もう忘れていることも多いが昨日のことのように思い出されることもたくさんある。
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コメント
ガンガゼは3年前、串本の磯で見た事があります。
見ただけで怖かったです。
ガンガゼカクレエビとか、コールマンズシュリンプとか、バサラカクレエビとか、この手のエビは、写真で見るだけでも面白いですね。
個人的には、オニヒトデと戦うという、サンゴテッポウエビの戦う姿を見てみたいです。
投稿: &oh | 2007年9月23日 (日) 19時06分
このように他の生物の体外や体内に棲息する節足動物や、軟体動物(主に巻き貝ですか)はこれからもゾクゾクと発見されるでしょうね。ただ、研究自体がなかなか進まないので、ダイバーたちの方が情報は速いかも知れません。
サンゴヤドリガニってのが面白いんですが、通常は見ることができません。これなんかもどのような時間経過でこのような生息場所を作るのかを考えると、全く不思議でなりませんね。
投稿: からっぽ親父 | 2007年9月24日 (月) 15時50分
サンゴヤドリガニですか。トゲサンゴの先端に瘤を作ってその中に住むというカニですね?
サンゴガニやキモガニのようにサンゴの枝間で暮らすカニは見た事がありますが、さすがに瘤を割る訳にはいかないので、見た事がありません。
投稿: &oh | 2007年9月24日 (月) 22時48分
ハナヤサイサンゴやショウガサンゴなどにごく一般的に棲息していますね。小さくて地味なカニです。それにしても、不思議な生き物です。
今朝はアカザエビが出ていましたが、あれってあまり美味くないと思うのですが、いかがですか?
投稿: からっぽ親父 | 2007年9月25日 (火) 14時03分
アカザエビですか?
食べた覚えがありません…。
投稿: &oh | 2007年9月25日 (火) 23時44分
西洋料理でよく見かけますよ、といっても写真やテレビですが。テナガエビと言っていることもありますが、アカザエビが正解。種類はいくつかありますが・・・・・
投稿: からっぽ親父 | 2007年9月26日 (水) 14時03分
先日蒲郡でアカザエビ食べました。味は…甘エビ(ホッコクアカエビ)の方が美味ですね。いえ、決して不味いという訳ではないですが…。
投稿: &oh | 2012年11月27日 (火) 22時59分
私も最近いろいろなエビを食べていますが、味や食感に個性があって面白いですね。
アカザエビ、テレビのグルメ番組によく出てくるものだから、こちらでも高いですね。高すぎて手が出ません。
投稿: からっぽ親父 | 2012年11月28日 (水) 06時31分