冒険ダン吉になった男
実に面白い本を読みました。産経新聞社から出ている『冒険ダン吉になった男』 1800円
土佐の郷士の家に産れた森小弁(もりこべん)は少年の頃、自由民権運動にかぶれましたが、理想と現実の差に戸惑い、南洋トラック諸島に渡ります・・・・・・全く本の帯に書かれたとおりの波瀾万丈の人生だったようで、実際に大酋長になった訳ですが、統治国がドイツから日本に変り、トラック諸島の人々を守るために息子達や友人と力を合わせ、奮闘したようですね。
終戦直前の、アメリカ軍の攻撃でも的確な指示を出し、島民を守った事を知りました。
彼や、彼の友人の子孫は1000人を超え、日系人も16000人以上でミクロネシアの30%を越えるんだそうですが、日系人としての分離した社会は存在しないんだそうです。すべての人間が平等に生きていこうとする無意識のあらわれではないでしょうか。
このような日本人が居たということに、読後感の爽やかさとともに誇らしさを感じられる本で、ぜひ皆様に読んでいただきたいと思いました。
なお、戦時中日本軍がかなりの数駐屯していて、戦況が悪くなるとともに食糧難になったのですが、日本の兵士が現地の方々の食料を奪ったり、女性に乱暴したことはなく、非常に仲良く暮らしていたんだそうです。現地の方々にしても、日本軍が居るからこそ、不便で危険な目に遭っているのに、日本の兵隊さんに同情的だったとか。
これは以前、私が父のことを書いた
酔芙蓉 http://pinno601.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_fca0.html
で、ラバウル近くの島に従軍していた父が、その島を再訪した話を書きましたが、なんとなくその話が裏付けされたようで嬉しかったです。
追伸:今、読み終えた本を父に送ったところです。
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コメント
へ~、モデルが居たのですね~。
今、読みかけの本やまだ読んでない本がありますので、チョッと後になりますが是非読んでみたいですね、面白そうです。
今、吉村昭さんに、はまってます。
投稿: 北割 | 2011年10月27日 (木) 20時52分
「フランク安田」は、アラスカのノーム岬のエスキモー村長になりましたが、それとよく似ているようですね。
そのうちに、読んでみます。
いま、熊谷達也にハマっています。
「邂逅の森」「相克の森」を読み終えました。
吉村昭、いいですね北割さん。
投稿: ばんどり | 2011年10月28日 (金) 09時15分
吉村昭さんは私も大好きです。
フランク安田さんは、新田次郎さんの「アラスカ物語」の主人公ですね、私、ハードカバー持ってます。
熊谷達也さんはまだ読んだことがありませんが、一度挑戦してみたいです。
投稿: からっぽ親父 | 2011年10月28日 (金) 13時46分
吉村昭さんの本を読むきっかっけは、3月11日の大震災でした。
三陸海岸大津波、桜田門外の変、破獄、羆嵐、島抜け、光る壁画、私の普段着を読みこれから読む本が戦艦武蔵、ポーツマスの旗、読み直しの本が生麦事件があります。
まだまだ、読みたい本が沢山ありますね、魅力一杯の吉村昭さんです。
そうそう、津村節子さんの紅梅もありました。
熊谷達也さん、吉村熱が冷めたら挑戦してみたいですね。
投稿: 北割 | 2011年10月28日 (金) 21時04分
北割さん
コメントの返事が遅くなって申し訳ありません。
こういった場所で、本や作者の紹介をお互いにするってことは素晴らしいですね。
これからも、いろいろ教えてください。私も、面白かった本を紹介します。
投稿: からっぽ親父 | 2011年10月31日 (月) 06時15分