不思議
私は時代劇小説が好きでしてね、近年の葉室麟さんも少し前の藤沢周平さん・池波正太郎さん、もっと前の山手樹一郎さん・山本周五郎さんなど皆さんの作品を愛読していますし、読み終わった小説も保存して、何年か後に読み返すということもしていますので、同じ作品を何度も読むことがあります。ストーリーが分かっていて読んでいますので、再度、再再度、感動を味わいたいということなんでしょうね。
しかし、昔からちょっと不思議に思っていることがあります。山手樹一郎さんの短編『約束』と山本周五郎さんの短編『朝顔草紙』の内容が非常に良く似通っていることです。
主人公は結婚適齢期の若武者、親同士が決めた許嫁を他藩まで迎えに行く。と言うもので、行き着いた許嫁の家にたどり着くと、「娘はもう死んだ」と言われ落胆するが、姉妹同様に育ったという盲目の従姉妹が居た。若武者は用事を済ませ(この辺がちょっと内容が違い、山本さんの方が面白く内容がある)いざ帰る段になり、婚約者の父に「位牌の花嫁を連れて帰る」と言うと、盲目の従姉妹の世話をしていた乳母が、「この方があなたの許嫁でございます」と打ち明け、その盲目の女性を連れ帰って妻にする決心を、父親に伝える。
とまあ簡単に言えば、こんなストーリーです。
あまりに似通ったストーリーなので、どちらかの盗作かと思い調べてみてもそのような話は出ていません。
山本周五郎さんの短編『朝顔草紙』は昭和13年講談倶楽部10月号に掲載されたそうです。一方
山手樹一郎さんの短編『約束』は昭和15年大衆文芸に掲載されたとか・・・・・
殆ど同時期に活躍されたお二人、真相は分かりませんね。
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