熊問題
熊は増えている、と自然界の報道写真家宮崎学さんは、もう30年近く前から発信していたが、一部の熊愛好家(この表現おかしいかな)や現場を見ない学者さんたちからはずっと批判され続けて来た。
宮崎さんは現場主義者だから、自動カメラでありとあらゆる場所に出現する熊の撮影をして、こんな場所にはいないだろうと思われる所での撮影にも成功している。そして、その姿だけでなく、糞からの熊の食物嗜好性や、健康状態までも判断するし、人家の近くに出没する、親子熊の年齢や栄養状態も推測する事ができる。また、お仕置き放獣された熊が、再び三たび人家近くに出て来て、撮影されることもよくある事で(放獣された熊には耳にタグが付けられている)、お仕置き放獣は無意味だと仰る。
別に宮崎さんは、熊に対して,全て駆除しろとは言わない。熊も自然の一部で、何故近年、熊が増えて、人里に降りて来て、人を襲うようになったかを冷静に観察して、報道しているだけなのである。
宮崎さんが、ある方に「熊は何故増えているのですか」と質問され「子供を産んでいるから」と答えたら、すごく怒られたそうだが、確かに人をおちょくった返事ではある。増えるか減るかは、プラスマイナスだから、プラスが増えてマイナスが減れば、当然個体数は増えていく。マイナス要因を考えれば、寿命と天敵の存在。ツキノワグマの平均的な寿命は20年ほどだと言われるが、天敵が居なくて栄養状態が良ければ、今後寿命も伸びていく可能性もある。繁殖可能な年齢が雄で2〜3歳、雌で4歳位からだと言うから、十数年は子供を作る事ができる。もっとも同族間での競争も激しくなってくる事だろうから、若い熊には相手が見つからず、あぶれてしまうかもしれないし、熊の一番の天敵は熊だということになるかもしれない。
宮崎さんは良く、『間接的な餌付け』という言葉を使う。
つまり人間が何気なくやっている仕事や生活の一部が野生動物に対する餌付けなんだと。
ゴミの問題では色々な事が起きている、キャンプに行って、生ゴミや食べ残しをそのまま捨てて来たり、街中のゴミ出しでもマナー違反が多い。畑での果樹栽培、庭の柿の木、これらがみんな間接的な餌付けである。極端な事を言えば、寒冷地でのサーモン養殖もそう。先日も、青森県むつ市で養殖場のサーモン500尾が死んだというニュースがあったが、これは熊がサーモンを狙って、池に入り込み暴れた事が原因で、排水施設などが壊れて、酸欠になったためらしい。
熊にしてみれば単なる索餌行動、これから先もこのような事例は増え続け、「ああ、それも間接的餌付けだったんだなぁ」と思い知る事が多くなるのではないだろうか。
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