2008年5月11日 (日)

山桜

Yamazakura1_2 藤沢周平さんの『山桜』が映画化されて、今月封切りになるということで楽しみにしています。

藤沢周平さんの原作で映画化されたのは、山田洋二監督の三部作と言われた『たそがれ清兵衛』『隠し剣鬼の爪』『武士の一分』と黒土三男監督の『蝉しぐれ』がありますね。

『たそがれ清兵衛』『隠し剣鬼の爪』は短編をいくつかつなぎ合わせた原作で、これはこれで面白かったです。『武士の一分』は短編一本が原作で忠実に描いていたように思えます。『蝉しぐれ』は長編が原作なので、ダイジェスト版のようになってしまったのは否めないのですが、終盤ふくと文四郎の会見シーンがとても良かったです。原作やNHKテレビでは、この場面・・・何といいましょうか、情交というかエッチというかその場面はあったのですが、映画では二人が見つめ合うことでその場面を作り出してしまったですね。
Yamazakura2 ただ、御前試合の件りは懲りすぎていて面白くなかったです、長編ですからね難しかったでしょう。

さて、今回の『山桜』ですが、素人ながらに危惧するところがあります。

この小説は【時雨みち 新潮文庫】の中に収められている、ごくごく短い作品。ストーリー性はサラッとして、情感・情景をとても大切にした作品だと思います。つまり、これも素人ながら、あまりいじくってしまうと全くの愚作になってしまうと思うのです。

もう一つ心配なのは、主人公の野江を演じるのはあの「これ大豆ですから」の人でしょ、ちょっとイメージが違うなぁ・・・。好みの問題だから仕方ないけど。。。

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2008年1月 7日 (月)

セブンアンドワイ

7andy Zaさんに教えていただいた【山渓カラー名鑑 日本の海水魚】を購入。

近くに大きな書店がないので最近はセブンアンドワイで購入することが多い。
http://www.7andy.jp/all
この方法だと、指定したセブンイレブンに受け取りに出かけなければならないが、少額の本でも送料がないし、自分が暇な時間に行けばよいので便利である。

「○○○円以上送料無料」という所もあり、自宅まで届けてくれるが、その金額に達しなければと無駄な買い物もしてしまうので、少々の手間を惜しんでいるよりはこの方がよい。

代金はセブンイレブンでの引き替え。

ところで、【山渓カラー名鑑 日本の海水魚】カラーの水中写真がたくさんで、見ているだけで楽しい。こんなに種類があったのかと思うほど、いろいろな魚が網羅されていて今までの知識不足が恥ずかしいくらいだ。まあ、種類を推測するのには、我々素人は全くの絵合わせだし論文を書くわけではない、いわゆる自己満足の世界だから、その程度でも仕方がない。

とにかく、かなり厚い図鑑なのでまだじっくり読んでいないが、参考文献の所を見ていたら懐かしいお名前が何人か載っていて、昔を思い出した。
Shinkaigyo2 また、私が【マイフォト】のところに『深海魚』として載せてあるアンコウの胃の中から出てきた魚は【ソコダラ】の仲間ということになりそうだ。

今日も一つお利口さんになった。

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2008年1月 1日 (火)

こうの史代

Kouno1_2 こうの史代さんの漫画が面白い、いや面白いというか、なぜか気になる、と言った方がよいか。

【さんさん録】は定年過ぎの男やもめが、虫好きのちょっと不気味な娘が居る息子夫婦と同居し、死んだ女房の遺したノートを見ながら主夫業に励む物語。

こうの史代さんといえば、とても可愛い天然ボケの、それでいて時々キリッとした(それが勘違いのことが多いが)女性が主人公だが、今回は実家に帰ると見事な広島弁に変身する、長男の嫁が演じている。

死んだ妻が随所に亡霊のごとく登場するが、これはそのような設定ではなく、男の見る幻影であろう。こういったときに、男ってのは死んだ女房の面影を永久に引きずっていくのだ。。。それでいて、新しい恋の予感もあったりして、なかなか面白い。
Kouno2 こうの史代さんの絵は、絵本のようでとてもきれい。我が家の女性軍も、単行本を買ってきたら、早速ファンになってしまったのだが、不思議なことに彼女の作品は男性漫画週刊誌(月二回は何て言うのかな)【漫画アクション】に連載されていることが多い。

私のような、年寄りのおじさんからもかなりの支持を得ていることは確かである。

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

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2007年12月25日 (火)

図鑑

Juhihandbook 【樹皮ハンドブック】は文一総合出版というところから出ています。樹木ってのは、前にも言いましたが、幼木と老成したものでは違うものが多いので、このハンドブックは助かります。まだ、種類が少ないので、もっと多くなると嬉しいですね。

木は、葉・花・実などの他にこの樹皮や、樹形ってのも同定の見分けになるようで、それらを総合したものが出てくれると有り難いのですが、分厚くなるでしょうからJumoku 持ち歩きは無理かも。

下の【樹木辞典】は種類が多くて写真も比較的きれいですが、【ネジキ】など樹皮が一番特徴的と思われる写真が少ないように思われます。

【木の名前がわかる辞典】ってのがありまして、私も持っているのですが、ピンぼけの写真を平気で載せているので論外と言っても良いでしょう。

鳥の図鑑は我々素人には平凡社から出ている【日本の野鳥590】が良いのではないでしょうかぁ~・・・写真もきれいだし、種類も多いし・・・。

Birdhandbook
鳥もハンドブックが出ていますが、私のような素人には難しそうですね。例えば、先日運転していたら、目の前にいたシギ、フロントガラス越しに撮ったのですが、タシギなのか何なのかさっぱり分かりません。

Shigi ところで、魚の図鑑は何かお奨めがありますか?皆さんぜひ教えて下さい。

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2007年12月24日 (月)

徘徊

Sanpo1 最近よく歩いているので、【徘徊】というカテゴリーを作ってみた。迷子になって家に帰れなくなったらどうしよぉ~・・・・・

昨日、仕事を早めに終えて西尾の茶臼山近辺に散歩に出かけた。前日からの雨が、やっとあがったばかりなので、枯れ葉が敷き詰められた山道では滑りやすいと思い、山の周囲の林道を歩いてみた。

Oobayasyabusi 道の左には【オオバヤシャブシ】が多く、右側の斜面には【リョウブ】の木が群生している。

この時季、落葉樹はほとんど葉が落ちているので、木の同定が難しい。そこで、『樹皮ハンドブック』なるものを購入。

これは我々素人には有り難いもので、158種の身近な木の幹を木の生長によって写真で示してくれてある。今後、木の種類を増やしていってくれると期待している。

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2007年10月 3日 (水)

遅咲きじじい

Osozakijijii 小林よしのりさんの「遅咲きじじい」が面白いので、単行本を取り寄せて購入した。通常コミックの単行本は500円くらいだが、これはやや大判で装丁も豪華、1000円という良いお値段であった。

もともと、小学館から月二回発行されている漫画雑誌「ビッグ・コミック」に不定期に連載されている漫画で、定年退職した62歳【遅咲散太郎】(さんたろうではなくて、ちりたろうと読む)が主人公。

老いていくことへの抵抗、若さへの執着、色気・・・・・先だった妻(散太郎のあまりの我が儘に幽霊になって出てくる)は「あなたは遅咲きなのよ・・・」と言う。何が遅咲きかといえば、【男としての魅力】が遅咲きだということだろう。

孫がいじめっ子になっているのを、逆に弱点をいじめられっ子に教えて、立場を逆転させるなど、真剣に孫に対抗していく。一切媚びることはない。

他にも散太郎の加齢臭を慕う【ミキータ】という匂いフェチの若い女性、あからさまカツラの【毛微光一】などユニークな登場人物がいっぱい。

とにかく面白く、年老いていく我々には参考にしなければならぬことが多い。ぜひ一家に一冊。

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2007年9月19日 (水)

ガンガゼカクレエビ

Ebi1 『桜島の海へ』出羽慎一:写真・文を見ていると、魚の写真も美しいし面白い生態も我々に教えてくれるが、無脊椎動物の造形美やそれを住みかとする不思議な生き物も見せてくれる。このように棘皮動物や腔腸動物の体の一部を借りて生活するエビやカニなどは我々が学生時代はまだまだその存在が一部の人だけにしか知られておらず、ましてや図鑑や写真集ではほとんどお目にかかれなかった。

写真を無断で転載したが、ウニの一種ガンガゼの棘の間に棲む2種のエビも当時はほとんど知られておらず、野母崎で採集したときには小型のエビを研究しておられるM先生に報告したらとても喜ばれたものだ。

ガンガゼはダイバーなら誰でも知られている、長大な毒棘を持ったウニの仲間であるが、このエビが棲息しているならと、水槽で飼育してみたらなかなか美しい。

ある夜、エビがどのように夜間を過ごしているのか覗いてみると、なんと日中濃紫色だった2種Ebi2 のエビが真っ赤に変わっているではないか。すぐに仲間を呼びその後交代で観察を続けたら、さらに体色は変化し、ほぼ透明状態になることが判明した。

この2種のエビは大きいものが現在【ガンガゼカクレエビ】小さいものが【ガンガゼエビ】と呼ばれていると思う。体色の変化はガンガゼエビと呼ばれる小さいものが、顕著に透明になっていき、ガンガゼカクレエビではサイズの小さいものが、変化が激しかった。

シャーレに入れたガンガゼエビ(?)は落ち着きがなく水中を素早く泳ぎ回ったが、短いガンガゼの棘を入れるとそれに留まり落ち着いてしまった。

Ebi3 体色変化の実験は、当初自然光での変化を観察し、体色のphaseを決定。その後、連続暗闇にしたものとの比較を行ったり、元に戻したりして実験を続けた。

結論を言えば、暗闇にした当初は多少体色変化の周期性は認められるが、その後暗闇が続くと透明phaseで固定されてしまった。

その後、自然光に戻したものは日の出とともに体色の変化が始まったが、周期性を回復するには時間がかかった。

Ebi4 30ウン年前、卒論の合間のお遊びで小さな研究会で発表しただけで、論文は書いていない。

写真集を見たので、昔のノートを引っ張り出して読んでみた。もう忘れていることも多いが昨日のことのように思い出されることもたくさんある。

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2007年9月15日 (土)

魚の本

Book1 鹿児島のTさんからお魚関係の本が2冊届いた。彼女の出身は長崎なので、今年夏、『長崎歴史博物館』で催された、特別企画展『シーボルトの水族館』のために作られたものが一冊、もう一冊は出羽慎一さんというかたが作った『桜島の海へ』という水中写真の本である。送ってくれたTさんは鹿児島水族館の魚類同定などのボランティアをしているので、その関係のお友達ということらしい。

シーボルトは江戸時代末期に日本に来て、多くの生物の標本やその生物の絵を日本の絵師に描かせ、オランダに持ち帰って研究をした(シーボルトはオランダ人ではなくドイツ人)日本の生物、とりわけ魚類研究の先駆者といっても良い。

その標本や絵が、今でもオランダ、ライデン博物館に残っていて、それらの展示会を故郷長崎で行うということで、Tさんからもお誘いがあった。しかし長崎は遠く、展示中に行くことは出来なかったのでTさんが気を利かせて、資料を送ってくれたのである。

中には人魚の剥製などもたくさんあり(もちろん合成だが)写真を見ているだけでも、とても楽しい。魚やエビの絵は見事な色づかいと忠実な描き方で、写真とは違う説得力があり、技術の高さを感じさせる。また、シーボルトの助手ビュルガーのコメントも紹介されていて、カゴカキダイは「・・・夏にときどき長崎や島原の湾で捕れる・・・」ハリセンボンは「この魚はとても珍しく、私の所には大村湾から届けられただけである。その肉には毒があると考えられている」とあり、カゴカキダイは30年ほど前の長崎では沿岸で潜ればもっともポピュラーの魚であったし、ハリセンボンは日本海で大量発生して嫌われているので、その比較が面白いし、ハリセンボンには毒はない。

Book2 最後にもう一つ、魚別にグラバー図譜との絵の比較があるが、「ウナギAnguilla japonica」の絵が少しおかしいのでそのまま計測してみた。吻端から背鰭の基部をA、吻端からしり鰭の基部までをB、全長をCとし、(A-B)÷C×100が0~5は短鰭型7~17が長鰭型という仲間に分けられ、japonicaは長鰭型に属するのだが、この上の慶賀さんという絵師が描いたウナギは4であるから、短鰭型でありjaponicaではないことになってしまう。短鰭型のウナギはボルネオなどの南方に数種類いるだけだから、当時の日本で混獲されるはずもなく、絵師の測定ミスであろうが少し面白かった。ちなみに、下の絵グラバーさんが描かせたウナギは10であるから、合格である。

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2007年3月 9日 (金)

ペーパーフィッシュ

Paperfish 「剣客商売」を買いに本屋さんへ行ったら、面白いものが目に入ったので手に取ってみた。

魚のペーパークラフトである。あちこちデフォルメしてあるものもあるが、結構リアルに作ってあるのもある。

魚はアオザメ・カクレクマノミ・クロマグロ・シーラカンス・オニイトマキエイ・ハコフグ・コイ・オオウミウマ・ビワコオオナマズ・ウミテング・サケ・マダイ・アンコウ・ムツゴロウ・ミノカサゴ・モンガラカワハギ・トビウオセミホウボウ・ヒラメ・ツノダシの二十種。

私は手先が全く不器用で、子供の頃もプラモデルなどほとんど作ったことがなかったのだが、魚の形のおもしろさに思わず衝動買いしてしまった。帰ってきて、仕事をさぼりながら作ったのがアオザメと右がセミホウボウである。切り込みが入れてあるので良いが、カッターを使って丁寧に取り外した方がよい。不器用な私でも、糊とセロハンテープで補強しながら簡単に出来てしまった。
Semihoubou これが漁獲されたセミホウボウ。ペーパークラフトは海の中で生きているものを再現している。

小学館から出ているシリーズもので、定価950円+税

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2007年1月25日 (木)

時代考証

Gairai1 それほど大げさなものではないが、現在時代劇を撮影しようとすると、自動車の轍や電信柱など、時代考証を考える以前のものが邪魔になって、撮影場所に苦労していることだろう。

しかし、それらの現時代の物体ではなく、実は植物にもその時代にはあるはずもない、という花が結構、時代劇に登場しているのではないかと、ネットで【時代劇>帰化植物】と調べてみると、やはりあるある。http://outer.city.rikuzentakata.iwate.jp/kakuka/hakubutu/sijou_hakubutukan/kika/kika8.htm一番有名なのは、やはり花もよく目立つこのキショウブ。リンク先にも書いてあるように、ヨーロッパから中近東の原産で、明治末に花卉として導入されたというから、それ以前の時代劇に出てくるのは不思議である。

上の写真は、朝日新聞で出している【藤沢周平の世界 創刊号 蝉しぐれ】の中で、藤沢周平さんについて書かれているページに挿入されている、おそらくハルジオンであろう。この花は、映画「蝉しぐれ」にもフォーカスをぼかしながら出ていた。ハルジオンは1920年ごろに帰化し、第二次世界大戦前、関東を中心に広がったそうだ。もし類似のヒメジョオンなら、1865年頃に鑑賞用として導入され、明治年間から各地に帰化したらしいから、これも時代劇にはそぐわない花なのだろう。

Mkarukaya さて、もう一つ。
これはメリケンカルカヤといって、近年急速に繁殖しているイネ科の植物である。北アメリカ原産で、第二次大戦以降に帰化したというから、本当にまだ新しい。この植物が、昨年話題になった時代劇の終盤、決闘場面で見られた・・・・・ような気がする。場面設定は、東北。撮影場所は、大井川の河原だという。

この植物、関東以西に広く分布しているという。

ただ、きれいな花が咲いているわけではないので、はっきりしたことは言えないが・・・・・

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2007年1月19日 (金)

おたんこナース

Otankonurse_1 我が家の二女は看護師志望である、正確に言うと看護大学の3年生なので、看護師の卵くらいにはなっているのかもしれない。(自分の聴診器も血圧計も持っている)

時々、血圧を測ってくれるのだが、あまり上手ではない。測定しながら「あれ?」とか、「おかしいな」とかの言葉を発するので、【おたんこなす】をもじって、【おたんこナース】と呼んでいたら、ある日「お父さんこれ」と漫画の単行本を6冊持ってきた。

これが、佐々木倫子さんの【おたんこナース:小学館】であった。とある大病院の正義感溢れるおっちょこちょい新米ナースの奮闘記といったところで、やることなすこと失敗ばかりだが、実にバイタリティ溢れるな愉快な主人公である。漫画の展開は、ちびまる子ちゃんとよく似たパターンであるが(そういえばタマちゃんに似たまじめな同級生も出てくる)、綿密な取材と忠実な描写(よく分からないが)そして、表情と仕草のの豊かさはお見事である。

私は漫画大好き人間だが、女性漫画家のものは今まであまり見たことがなかった。ストーリーがワンパターンというだけでなくて、とにかく面白くないし、コマ割も単調で遊びがないので数ページ見ただけで嫌になってしまうのだ。

この【おたんこナース】は面白い、佐々木倫子さんの別の作品も見てみたい。機会があったら是非どうぞ、全6巻。

追伸:看護学生が実習で病院へ行くと、ナースステーションで群れている姿が「迷える子羊」の群れだと描いてあったが、娘曰く「まさしくあれはその通り」だそうで、先輩ナースに挨拶する事もなかなか出来ないんだそうだ。まだ漫画を見ても、その程度しか実感できないのだろうが、早く看護の実態も納得して、私の臑齧りを切り上げてもらいたい・・・・・

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2006年12月21日 (木)

柿の木・2

遠州でも子供たちは、柿が大好き。ピンポン球のような実が鈴なりになる早生の柿は、初秋の楽しみであった。この柿は、実に黒い点が多数あった方が甘い、そのことを知っている子供たちは、爪で柿の実をわずかながら剥いてみて、甘さを判断するのだ。これは、我が家にあった【天竜】という品種も同じで、木に登るとあちこちの実に、爪痕のチェックがついていたものだ。

もちろん、一番人気がある次郎柿はそのようなチェックは入っていない、色づいていれば甘いことを誰もが知っているからだ。
次郎柿は、私の実家から数キロ北西の遠州森町が原産だと言われる。森町に行くと、どこのお宅でも裏庭に大きな柿の木があり、非常に大事にしている。柿の実も、それはそれは大きな立派なものがなり、それがそのお宅の自慢だったのだが近年、住宅の建て替えや、増築で切られていくことが多いと聞く。
私の兄嫁の実家でも、子供の勉強部屋を作るということで切られてしまった。柿の実の価値以上に残念なことである。

Jirougaki もちろん、実家の庭にも次郎柿が植えられている。私の子供の頃と同じように。いつ頃からあるのかといえば、恐らく私の父が子供の頃からあるのであろう。
宮崎さんの『柿の木』にもあるように、柿の木は何十年にも渡って人間の暮らしを見つめてきた。戦争で出征していった父も、無事帰ってきた父も。そして、何度となくあった人間の生と死も。

先月初め、「ヒヨドリが柿を全部食っちゃう」と母から電話があった。兄に聞いてみると、「それはヒヨドリではなく、ムクドリだ」とのことだが、母にとってはそんなことはどうでも良いことだ。

しばらくすると、あまり大きさも形も立派とは言えない次郎柿が送られてきた。

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2006年12月20日 (水)

柿の木

Kakinoki 小さい頃の記憶に、夕方兄が父に叱られて、泣きじゃくっていた、ということがある。おぼろげな記憶だが、学帽によそ様の畑でとれた果物を失敬して、それで叱られていたのだと思うのだが、その失敬してきた果物が、柿なのか、ビワなのか、グミなのかはっきりしない、それほど子供の頃はあちこちでいろいろなものをいただいたものだ。

では自分の家に果物はないかといえば、ちゃんと同じものが自家用に植えられている。どうも、余所のものの方が美味しく感じられてしまう心理で、これは誰も同じなのか、我が家のものは他人が味見してくれる。

ということで、取ったものを売りに行ったり、食べないで捨てたりしない限り、果物泥棒が問題になることはなかった。

『柿の木』動物写真家でもあり、自然界と人間界の橋渡し役の宮崎学さんが、信州にある何の変哲もない樹齢80年の柿の木を2年に渡って撮り続けた写真集が出た、いや詩集といっても良い。

季節ごとの、一本の柿の木を巡る季節ごとの風景から、柿の木の主の老婆の話は、小説のような派手さはないが、明らかに一つのドラマであり、我々に忘れている何かを思い出させる物語である。正直な話、団塊の世代から我々が見れば「やられたなぁ」という、爽やかな読後感を味わうことができる。

柿の木  宮崎学:著 偕成社  1200円

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2006年12月11日 (月)

武士の一分

どんなに素晴らしいストーリーでも、殺陣や剣の振りが下手くそならその映画は失敗だというのが、時代劇の難しさでもあるのだが、木村拓哉さんの木刀や剣の振り、殺陣はお見事であった。

Businoitibun 『武士の一分』は前にも述べたように、藤沢周平さんの短編集『隠し剣秋風抄』に収録される、『盲目剣谺(こだま)返し』が原作となっている。ストーリーは毒味役中に貝毒に当たって盲目になった若き藩士が、武士の一分のために上司を切るという物語で、それ自体は単純とも言えるストーリーである。

昨年公開された、『蝉しぐれ』では長編なので、割愛されたところが多く、ダイジェスト版のようだ、という声もあったが、今回の原作は短すぎて、しかも、同じ山田洋次監督の【たそがれ清兵衛】【隠し剣鬼の爪】は2~3話の短編を原作にしているのに対し、今回は一話だけなので、どのように作られるのか興味があった。

映画の出だしから、登場人物の性格付けのようなものがあり、木村さん扮する三村新之丞がややおしゃべりすぎるのではないか、と思ったが物語が進むうちに気にならなくなった。妻の加世役の檀れいさんは実に気品ある美しさで、惚れてしまった。映画を観るといつもそうだ・・・・・

ストーリーは細かい違いはあれ、ほぼ原作に忠実であり違和感は全くない。ただ、【武士の一分】という言葉が、全体で(当然後半だが)4回も出てきて少しくどいように思えた。武士の一分は全体の流れで、充分に我々が理解できるものなのだ。

ラストシーンは涙のシーンだが、これはどこがどうとは言えないが原作の微妙な文章の方が泣ける。ぜひ両方を見くらべていただきたい。
Businoitibun2 映画館は同年代の夫婦でいっぱい、「こらこら、そこのおっさん、したり顔で奥さんに解説なんかするんじゃないよ」

映画は静かに淡々と観るものなのだ。

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2006年11月23日 (木)

珊瑚

Sango 便利な世の中になったもので、昔読んだ本をもう一度読んでみたいと思って、本棚を探すと見当たらない「そういえば、面白いからと、友人に貸してそのままだ」仕方ない、本屋へ行ってみると、なんと絶版になっている。「なんで、あんなに素晴らしい本、いやあの作家の本が絶版なんだ」と怒って帰るが、あとは古本屋を探すだけになってしまう。しかし、それも田舎にいると難しい。

このサイトは
http://www.kosho.or.jp/
各地の古本屋さんが登録されており、一軒一軒目的の本を探さなくても、一括で検索してくれるので、とても探しやすい。

というわけで、今回は札幌から魚類図鑑を、神奈川県から新田次郎さんの「珊瑚」を取り寄せた。
この小説は、昭和53年に初版が発行され舞台が明治後期の長崎県五島列島、ということもあり、卒業して長崎を離れた私は長崎という言葉自体が懐かしく、しかも新田次郎ファンだったので早速買い求めた。

三人の珊瑚採りの若者と、一人の少女の数奇な運命、作者の見事な海の描写にすぐに引き込まれ夢中で読んでしまった。そしてこんなに面白く、長崎を懐かしく感じられるならと、海外青年協力隊でホンジュラスへ行って現地で活躍している友人に送ってしまったのである。すぐに、自分の分は買い戻しておいたのだが、今度は同じくケニアに行っている友人から、音楽のテープと何か本を送ってくれとの手紙があり、これまた送ってしまって、しばらく補充せずにおいたら前述のごとく、絶版になってしまったというわけである。この本に関しては、このようないきさつを昨日のことのように憶えていて、なんの後悔もないのが快い。

本を開いてみると、二段組みの細かい字がびっしりで、老いた目には厳しいものがあるが、少しずつ読んでいこう。しかし、良いものがいとも簡単に消え去っていく、この時代寂しいような恐いような、複雑な気持ちである。

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2006年11月 5日 (日)

蝉しぐれ

Semisigure 朝日ビジュアルシリーズ「週刊 藤沢周平の世界」の創刊号「蝉しぐれ」が出た。ビジュアルと書いてあるから、当然写真や絵が中心で、小説の山場が紹介されたり、背景が描かれている。当然、藤沢周平さんの言葉や原稿なども披露されている。

『蝉しぐれ』は近年、NHKテレビで牧文四郎を内野聖陽さん、ふくを水野真紀さんが演じており。昨年の映画では市川染五郎さんと木村佳乃さんが演じている。私には全く縁がないが、宝塚でも演じられたと、この雑誌では紹介されている。

物語はかなり有名なので、知っている方が多いだろうが、東北の小藩、海坂藩の下級藩士の息子(養子である)牧文四郎の淡い恋と、お家騒動に絡む物語、と言って良いのだろうか。かなり、波瀾万丈の半生と言っても良い。

テレビや映画でかなり感動的に撮られていた、切腹後の父、牧助左衛門を大八車に乗せて坂道を上るシーン、小説では道場の友人杉内道蔵も手伝ってくれたものであるが、映像では二人だけの方がより感動的と判断されたものだろう。

しかし、このような小説の解説書のような、週刊誌が売り出されるということが、私には不思議で、それだけの魅力が藤沢周平さんとその作品にある、ということだろう。

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2006年10月22日 (日)

藤沢周平の世界

Fujisawasyuhei 朝日新聞から「週刊 藤沢周平の世界」という週刊誌が30週にわたって出版される、ということでちらしがポストに入っていた。

どうもこういった企画に弱いので、また専用バインダを買って、定期購読することになりそうだ。この前は、小学館が企画した「やきものを楽しむ」全30冊であった。古くは日本の歴史なんてのも定期購読したり(これは長かった)学生のころは、動物、植物関係が多く出ていたので、不定期購読して、まだその残骸が本棚に入っている。

こういった週刊誌や、美術全集などでは最初が肝心で、恐らく人気のあるもの、人を最初に持ってくるのだろう。このシリーズの創刊号は「蝉しぐれ」である。(日本の美術全集では東山魁偉さんがトップになっていた)確かに蝉しぐれは、昨年映画で話題になっていて、私も見に行った。

それにしても、これは小説ではなく、小説の背景や時代考証などを説明する、映画のパンフレットのようなものである。このような週刊誌が商売の種になるという(失礼)藤沢周平さんという方の魅力に驚かざるを得ない。

私も、いつまでも、藤沢時代劇に感動する感性を持ち続けたい。時々このブログで紹介していきたい。

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2006年8月23日 (水)

藤沢周平

Bishinoichibun1_1【武士の一分】(ぶしのいちぶん)とよむのだそうだ。
山田洋次監督の【たそがれ清兵衛】【隠し剣鬼の爪】と並ぶ時代劇三部作の最後だとか。

藤沢作品、隠し剣シリーズは二冊あり「隠し剣孤影抄」は八作品「隠し剣秋風抄」は九作品の短編から構成されている。今回の映画は秋風抄に収録されている「盲目剣谺(こだま)返し」が原作。

前二作を見た方ならご存知なのだが、【たそがれ・・・】も【・・・鬼の爪も】表題の作品のみが原作となっているのではなく、隠し剣シリーズ以外の短編も原作として織り交ぜてある。

今回の【武士の一分】はこのパンフレットを見るだけでは「盲目剣谺返し」一作品だけが原作となっている。

物語は、毒味役の主人公が毒に当たり盲目となる。家禄没収かと思いきや、禄は維持され養生せよとの通達、そのころから妻の外出が増える・・・。

Bishinoichibun_1 武士の一分であるから、その辺の方向性が誠に難しいであろう。
キムタクさんも撮影場所などでごねたらしいから下手な演技は見せられないはず。
12月公開ということだから、楽しみに待っていよう。

これは余談だが、私がこの隠し剣シリーズで一番好きな作品は「女人剣さざ波」。
姉の美しさに早合点し、その妹邦江を娶った全く軟弱な男俊之助、醜女ともいえる妻を馬鹿にし、上司の命令を良いことに夜な夜な茶屋に出入りする。幸い上手く役目を終えたが、探索していた相手遠山に逆恨みをされて果たし合いということに。そこでその妻が「とうてい夫には無理だ」と果たし合いを替わるもので、とても意地らしく目頭が熱くなる。
結果的には、秘剣さざ波の認可を受けていた妻が深手を負いながらも勝つ。その決闘場面も素晴らしいし、書き置きを見て駆けつけた夫に言った言葉も良い。

「邦江」

 俊之助が、ひたひたと頬を叩くと、邦江はようやく眼を開けた。そして微かに笑った。俊之助が見たことのない美しい笑顔だった。
「ひどい傷だ」
 俊之助は、邦江の身体から鉢巻きと襷をとり、草鞋のように紐でくくりつけた草履をとった。そして慎重に邦江の身体を動かしながら、背にのせた。

「死ぬな」

 ちらと遠山の死体を一瞥して歩き出しながら、俊之助はそう言った。遠山が死に、邦江が生き残っているのが、奇蹟としか思われなかった。

 背中邦江が呟くように何か言った。

「え?何と言った」

「家へ、帰りましたら・・・・・・」

「うむ」

「去り状を頂きます」

「馬鹿を申せ」

 と俊之助は言った。だが、邦江は長い間このひと言を言いたいと思ってきたのだな、と思った。それが、いまやっと言えたのだ。

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隠し剣シリーズの短編には、実はハッピーエンドが比較的少ない。「女人剣さざ波」「盲目剣谺返し」「隠し剣鬼の爪」はハッピーエンドで終わる。

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2006年8月 5日 (土)

くりさんの水産雑学コラム100

Lurisan 水産高校とか水産学部とか水産関係の学校へ行くと、水産全般のことを良く知っていると思われるから、すべて深く知る必要はないけど一応素人さんの質問には答えられるようにしておきなさい、と言われたのはうん十年前。

その頃水産をおおざっぱに分ければ漁業、製造、増殖と分けられた。漁業は当然船の操船や漁具漁法を、製造は魚介類の加工であるからほとんど物理、化学の世界、増殖では水産生物の増養殖つまり生物学と言っても良い。

実のところ、このような多岐に渡るお勉強はできるはずもなく、今では専門の増養殖の質問でも答えることができなくなってしまった。

ネット仲間のくりさんこと栗原伸夫さんがネット上に書きためた「水産雑学コラム」を単行本として出版した。http://www2s.biglobe.ne.jp/~kurisan/

一ヶ月に一話ずつアップして足かけ9年かかったことになる。

最初に述べたように、水産全般だけでなく時には芸術や地方文化江戸時代の風俗などを織り交ぜて一話一話が素晴らしい内容になっている。水産の関係者が読んでも、関係ない方が読んでも本当に面白く勉強になる。

もちろん、現役時代に蓄えた知識を少しずつ出してきたところもあろうがほとんどは一話ずつご自分の足でこつこつと集めた内容である。その情熱には頭が下がる、さぞかし現役時代のお仕事も素晴らしいものであったと推測される。このような仕事は、推論の上に推論を重ねるということを一番してはならない。こつこつと地道に仕事を積み重ねていく、くりさんの姿が見えるようだ。

Kurisan くりさんとはfishmlというメーリングリストを通じて知り合うことが出来た、そして1999年10月にそのオフ会で初めてお会いすることが出来、その後も奥様を交えたりして何度もお会いしたが、いつもご自分が経験されたことや目撃した面白いお話をしてくれる。そう、くりさんこそ【ミスター水産】という称号を送っても良い人だと思っている。

いつまでもお元気で我々後輩を導いて下さい。

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2006年7月25日 (火)

宮崎学ワールド

Gaku1_1静岡県掛川の実家に行った時、年老いた母が「毎朝、ここの庭をタヌキのような動物が通って行く・・・」私が「ハクビシンじゃないか?」と言うと「ハクビシンじゃないよ、ハクビシンは鼻筋が白い・・・体が汚く、弱っているみたい」という話だった。少なくとも母はハクビシンを知っているということで驚いたことがある。

【かわりゆく環境 日本生き物レポート】シリーズの第1巻「洗剤キャップの棲み心地は?」という題で宮崎学さんの最新の本が刊行された。

いつものとおりの鋭い切り口で、人間界と自然界の橋渡し役をやってくれるのだが、最近の自然界はただ漫然と生物の生態を教科書通りに眺めていては遙かに遅れてしまう。そう、自然界の方が進歩が早く、適応力が強いのだ。

つまり、観察する側もアンテナを四方八方に広げながら一見関係ない情報も拾ったり、勉強していかなければそれこそ動物たちに笑われてしまう。彼の写真を見て頂きたい、一枚の写真があらゆる方向から見て欲しいと訴えている。
そして文では、「食物連鎖」「生物濃縮」や化学製品は分解しにくいことをやさしく例を挙げて説明してくれているし、別ウインドで用語の説明もしてくれている。

野生生物が変わった行動をとったときには必ず何かのサインであり、理由があるということを我々も知らなければならない。彼がそういう意味での橋渡し役であると考えている。

最初の母の話、66ページ「ホンドタヌキ 異常繁殖に寄生虫がバランスを」であろうか。

この【かわりゆく環境 日本生き物レポート】のシリーズは理論社から
2.廃棄スイカに群がるイノシシ家族 11月上旬発売予定
3.野生動物の首をしめるゴミ 2007年1月下旬発売予定
4.コンクリート壁のスズメの団地 2007年3月下旬発売予定
http://www.rironsha.co.jp/bookstore/n4-652-08217-7.html

Gaku2 宮崎学さんのサインは独特の形をしている。

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