自然界の報道写真家と言われる宮崎学さんの『森の探偵』が出版されました。

宮崎さんの作品は写真の素晴らしさはもちろんですが、何と言っても文章が面白くて説得力があります。単なる写真家の写真集とは違う、読んで楽しめる本になっています。
思えば昭和50年代『アニマ』という季刊誌が平凡社から出版されていて(素晴らしいものだったのですが休刊となり、そのまま)昭和53年のものに宮崎さんの『けもの道』が特集されていました。信州の駒ヶ根付近のけもの道に無人カメラを仕掛けて、あらゆる動物を自然のまま撮影したもので、当時20代の私はビックリしたものです。

その後も『鷲と鷹』『フクロウ』『アニマル黙示録』もう紹介しきれないほど多くの作品を精力的に生み出しています。宮崎さんのこの精力的な原点は、やはり何事にも興味を持つということではないでしょうか?
実は宮崎さんとは何度かお目にかかったことがありますが、そのきっかけは「サンマのお腹の中に鱗が入っているのは何故か?」という宮崎さんの疑問だったのです。そこで10年以上前一世を風靡した(大げさですが)fishmlというメーリングリストに入会され、侃々諤々とやったわけです。サンマの腹の中の鱗は棒受け網というサンマ漁のため、サンマが仲間の鱗を飲み込んでしまうと言うことが常識だったのですが、宮崎さんはサンマの群れが泳いでいる隣のサンマの鱗を食べているのではないかという仮説を立てたのです。こういったことは議論自体を楽しむため、サンマを焼いて実験する人が出てきたり、鱗が入っていないサンマは、網の中に入ってすぐ死んだため、鱗を飲み込む間がなっかっただの、みんなで楽しんだものでした。
横道に逸れてしまいましたが、やはり興味がある好奇心があるって事と、それに伴う行動力は素晴らしい作品を生むものです。
今回の作品『森の探偵』は宮崎さんの集大成かと思ったら、宮崎学作品の入門編と言えるのではないでしょうか。これを読んで、宮崎さんの一つ一つの作品に触れてみるのがよろしいかと思います。自然、野生動物に対する考え方が変わると思いますよ。

そうそう『アニマ』の裏表紙はミノルタの宣伝・・・キャンディス・バーゲンが若い若い。
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