もう20年以上前、英虞湾で二枚貝の種苗生産をしていた頃の話です。
鵜方という町の釣具屋さんでは、英虞湾内の真珠筏に小さなボートを繋留させてもらって、そこへ大阪や名古屋からのチヌ釣りのお客さんを渡して、餌や弁当を売る商売をしていました。
私の知り合いの西岡さんという真珠屋さんの筏にもそのようなボートが付けてあり、西岡さんがアコヤガイの貝掃除をしているときは、大阪からの若者がボートに降ろされチヌを狙っていました。
しばらく貝掃除を手伝っていると、なにやら魚がかかったようで、竿がしなっています。それ程抵抗なく魚は上げられ、釣り人の手に収まりました。手のひらより少し小さな魚で、魚種まではよく分かりません。
そのうちに群れに当たったのか、次から次へと同じ大きさの魚が釣り上げられ、私と西岡さんは貝掃除の手を止めて眺めていました。
すると釣れている魚は何とアイゴではありませんか。私と西岡さんは思わず顔を見合わせ、無言。そして、西岡さんが若者に声をかけました『にいやん、痛ないかぁ~?』すると
若者が眉を八の字にした情けない顔で振り向いて「い・た・い・~・・・・・」と答えました。(このへん、ほとんど吉本の世界です)私達二人はもう笑いをこらえるのに必死でしたが、西岡さんが『この魚はアイゴと言って鰭に毒のある魚で・・・・・』と教えていました。アイゴを見るたびにあの時の若者の顔がよみがえってきます。
というわけで、昨日はアイゴが本当に情けない値段で売られていました。3枚で200円ですが、ちょっと大きいものは2枚で200円。3枚調理するのが面倒なので、2枚の方を買ってきました。もちろん調理前に各鰭はキッチンバサミで切り落としておきました。
アイゴは産卵期らしく、成熟した卵がサラサラとこぼれ落ちてきます。身がしっかりしているので、とてもおろしやすい魚です。
アイゴは時期的に非常に臭い魚だと言われますが、私が学生時代食べたときには非常に美味しい魚で、それが冬だっただけに、この時季と値段に多少びびっていたことも確かです。しかし、何事も勉強200円なら安い勉強代です。
おろしていても、特別磯臭さや生臭ささは感じません。おそるおそる、1人前だけ切って匂い消しにタマネギなんぞを添えてみました。
ところが、拍子抜けするくらい。匂いはないし、適度な脂がのっているしでとても美味しい。しかも、血合いの色もきれいです。
当然、あれだけの量は我が家の家族では食べ切れませんでした。
ただ、鮮度や個体による変異はあると思いますので、もし買っても「臭かった」と文句を言わないように。
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